【本の要約】『嫌われる勇気(アドラー心理学)』今をより充実させる成功法則

今回はアドラー心理学をわかりやすく解説した『嫌われる勇気』の概要についての記事です。

The Courage To Be Disliked

プロローグ

本書はアドラーという心理学者が提唱するアドラー心理学についてまとめられた本で幸福になるためにはどのように考えればいいのかと言うのを解説しています。

内容も哲人(哲学者)と青年の会話形式で構成されていてとても読みやすい良書となっております。

哲学的な内容になりますが本書を読む事によって自分は変われる、そして人間関係、特に劣等感に悩む人に対してとても刺さる内容となっております。

トラウマを否定せよ

では早速内容に入っていきましょう。第1夜は『トラウマを否定せよ』です。本章を簡単に言うと負の感情を捏造するな。ということです。

まずアドラーは原因論を否定しすべてが目的論であるといいます。少しむずかしいですが要は人の行動心理には原因があるから行動するのではなくすべて目的があるから行動するのだというのです。

例えば客がウエイターに怒るという場面で状況からみて多くの人はウエイターが客にコーヒーをこぼしたから怒っているのだと思います。しかしアドラー心理学ではすべてが目的論なので客は単に優位性を見せつけたいだとか怒ったらクリーニング代を出してくれるなどの目的があり怒っているということになります。

つまりは怒りという感情を捏造しなにか他の目的がありその行動をしているということです。

他にも赤面症の女の子が好きな人に告白したいが赤面症があるから告白できないと悩んでいますがこれも赤面症だから告白できないのではなく、断られるのが怖いとか今の関係を壊したくないというのが目的であって告白できないのではないんか?と言われています。

これも先程の例同様に不安という感情を捏造して居心地のいい今を変えたくないという目的のためにその行動を選んでいるのです。

他にも今のままが楽だから過去のせいにしていないか?他人が反対したからやめたのか?負の感情を捏造してそれがあるから次の行動ができないのだと自分に言い聞かせていないかと問われます。

そういた負の感情を目的を達成するために道具として使っていると考えるのが目的論です。

これは非常に残酷で受け入れがたい反面、過去にとらわれず都合のいい道具として使ってきたトラウマも変えていけるということです。人は変われるということがわかります。

過去に縛られず、今この瞬間をどう生きるのかという目的がとても大事です。

すべての悩みは対人関係

第2夜は『すべての悩みは対人関係』です。簡単に言うと悩みとは他者との比較であるということです。

悩み事には100%他人を必要とします。悩みを消し去るには宇宙の中にただ一人で生きるしかありません。

つまり孤独を感じるのはあなたがただ一人だからではなく阻害されているから。我々は孤独を感じるにも他者を必要としてしまいます。

例えば身長が低い悩みがあったとしてその身長は誰と比べての低いのかという相手が必要になってきます。またお金も他者がいなければ存在の意義がなくなるので冬の暖炉に焚べることになるでしょう。

対人関係の悩みを解決することが何よりも重要で唯一必要なことです。

他者の課題を切り捨てる

第3夜は『他者の課題を切り捨てる』です。簡単に言うと自分のコントロールできることに心血を注ぎコントロールできないことは考えないということです。

本書でも例として取り上げられていたのですが馬を水辺に連れて行くことはできるけど水を飲むかどうかは馬しだいである。

これは馬に水を飲ませたいと考えたときに馬を水辺に連れて行くことは自分の課題なのでコントロールできますが馬が水を飲むかどうかは馬の課題なので自分にはコントロールができなくなってしまいます。

これは悩みが多い人に多い特徴だと思うのですが他人の課題にまでコントロールを置きたいと考えてやつれている人がいますがアドラー心理学では課題の分離をしてコントロールできないことには干渉せず自分がコントロールできることに全力で取り組めばいいというのです。

また課題の分離をするというのは『承認欲求を捨てろ』ということにもなります。どういうことかというと他人が喜ぶだろうとかうらやましがるだろうとかそういった感情は相手の課題であるということです。

自分の行動指針に承認欲求を入れてしまうことはとても危険で課題の分離ができずお互いが不幸になってしまうか、際限ない欲望のループに陥ります。

例えばinstagramで旅行に行ったことを報告する投稿をしたとして本人は羨ましがられたいと思って投稿しています。これだと他人の課題をゴールにしてしまっているので承認欲求の奴隷になって、いいねの数に一喜一憂したりコメントされることだけが喜びになってしまいます。

これはいい大学に入って親を喜ばせたいとか大企業に入ってすごいと思われたいとか上司に気に入られたいとか承認欲求を満たす社会で他人の課題にどうしても注力するような構造になってしまっていることが原因でもあります。

この構造からうまく抜け出すことができないと不幸のループにどんどんハマってしまいます。そのために自分が何をしているときが幸せなのか自身の課題としてコントロールができるのかが大きなカギとなってきます。

承認欲求が脳科学的にも良くないということは証明されています。

こちらの記事に書いてありますので読んで見てください。

世界の中心はどこにあるか

第4夜では『世界の中心はどこにあるか』です。簡単に言うと他人の幸せは自分の幸せでもあるという考え方です。

まずアドラー心理学では縦の関係すなわち、先輩後輩の関係を作ってはいけないとあります。これは上下関係を作ることで承認欲求を刺激してしまうからです。

例えば上司から褒められたとするとそこをゴールにしてもっと褒められたいという感情になってしまう場合があります。こうなると部下は自分の仕事内容よりも上司にどう褒められるかというのが目的になってしまいもしも褒められず怒られたらそこに負の感情が出てしまうという理論です。

これでは承認欲求の奴隷を増やしているだけなので幸せにはなれないです。

では上下関係を作らないためにどうするかというとお互いの仕事に対してはありがとうと感謝を伝えるのがベストだとあります。対等な関係を作り感謝することが幸せになる第一歩であります。

ただやってはいけないこととして感謝をされに行ってはいけません。これは相手の課題に踏み込んでいるので例えば恋人にプレゼントしたとしても相手は喜んでくれたと自己満足してしまうことが大事です。

そしてこの自己満足こそが幸福なのです。これをアドラー心理学では共同体感覚といいます。

つまり承認欲求は毒であり体を蝕むので体に優しい他者を幸せにすることに喜びを感じるようにするということが将来的な観点から正しい幸福です。

承認欲求をデトックスすることで最終的に見えて来るのが他人を幸せにすることが自分の幸せであると言うことです。

「いま、ここ」を真剣に生きる

第5夜では『「いま、ここ」を真剣に生きる』です。簡単に言うと実は今が幸せということです。

人は特別な存在になりたがります。つまり特別でないことは苦痛で耐えられないということになりますがしかし特別というのは少数であるから特別なのであって大半は普通なのです。普通である勇気を持ちましょう。特別な存在になりたいということは今の自分を認めたくないだけですからまずは自己受容が必要です。

自己肯定をするのではなく自己受容しましょうと言われます。似たような言葉ではありますが自己肯定はネガティブな部分は隠してポジティブな部分を見せていくのに対して自己受容はネガティブな部分もポジティブな部分も見せていきましょうということです。いま、ここに満足していればいいということで いま、ここにある自分を受け入れることが大切なのです。

この自己受容ができることによって点で人生を見ることができその瞬間瞬間で幸せを感じることができるのです。点の連続を意識しましょう。

7つの習慣という本の中でも主体的に生きることの大切さが言われています。

自分という存在を受容し人任せにしないことが生きる上でとても大切なのです。

7つの習慣についてはこちらで要約しているので読んでみてください。

エピローグ

本書をまとめるとトラウマなんてないから人は変われるし、承認欲求は毒だからデトックスしましょう。そして他人の幸せに気付けたとき自分も幸せを感じられるという感じになっています。

アドラー心理学はかなりポジティブな心理学で多くの人に勇気を与える作品です。

一方で極端な思想という側面もあります。例えばトラウマなんかないとありますが確かにトラウマを理由に逃げる人も見受けられますがほんとにそれだけがすべてなのかと考えるとあまりの恐怖にパニックを起こしたり気絶したりといった身体的にコントロール不可能な場面もあると思います。承認欲求をなくせと言われると難しい部分もありたまには褒められたいです。

現代社会で承認欲求というのが社会を支配している構図はかなり極端であると思うのでそのバランスを見極め自分の居心地のいい場所を見つけることが幸せの探求であると筆者は思います。

-参考図書-